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嘘つきパラドクス
「ルルーシュ・ランペルージは嘘吐きである」とルルーシュ・ランペルージは言った。さて嘘か真か?
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2024-11-22 [Fri]
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2008-09-22 [Mon]
クロスオーバーにも程があるクロスオーバーネタ。
いや、ギアスの日本を見たらきっと悲しいだろうし、取り戻すために頑張るんだろうなって。




「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様らは――…っ!?」

 左目に宿ったばかりの赤い鳥を羽ばたかせる為、上げた手を振り抜こうとした瞬間、目の前に突如として大木が現れた。
 凄まじい音を立てて屹立したそれにルルーシュは思わず言葉を途切れさせるが、遮られた先から響く悲鳴に更に目を剥いた。銃声も聞こえるが、大木に阻まれ此方には届かない。その代わりの様に、悲鳴に被って大型の獣の唸り声がするのだ。
 おかしい。
 ゲットーがいくら荒れているとは言え、さっきまでこの近辺は完全な戦闘区域だった。人は愚か根城を持っていただろう野良犬の類は早々に逃げ出している筈だ。
 というか、先ず目の前に生い茂るこの木は何処から生えた?
 下を見れば荒れ放題だがしっかりと舗装されたコンクリートの地面と倒れる女(ただし死んでいる)。上を見ればあちこち割れたトタン屋根とそれを支える鉄骨。明らかにこんな大木が一瞬で生えるような下地は無い。
 だが、まるでそれが当然の事であるかのように、大木はコンクリートを割って生えている。
 一体何がどうしてこんな事に?
 そんな場合ではないと重々承知している筈なのだが、突発事項に弱いルルーシュの頭が目の前の異常事態についていける訳がない。
 思わず、この事態を説明可能な理由を脳味噌フル回転ではじき出そうとした時、今度は大木が横一線、すぱんと切り払われた。
 そして。
『ワンッ!!』
「ほわああっ!?」
 倒れてくるはずの大木は花と消え、場違いにも美しく舞い散るその向こうから凄い勢いで白い塊が飛び掛ってきた。ぎょっとするルルーシュ(自他共に認める運動神経無し子)がそれを避けられる筈もなく。

 豪快に背後の階段を転がり落ちた。



***



 ゆらゆらと揺れる体。
 鼻腔をくすぐる清楚な花の香気。
 とくとくと、自分と重なる柔らかで確かな鼓動。
 僅かに引きずるつま先が熱い。
 薄ぼんやりと浮上した意識で、どうやら自分がふかふかとした物に凭れ掛かっている事に気づいた。
 暫しの間、呆とそれを感じていたが、スイッチが入り直したように明確な意識が戻り、ルルーシュは飛び起き。

 途端、不安定な身体が瓦礫の上に転がった。

「…ほあ!?」
『ワウッ!?』
 ごろん、ごつっ、と、転がって瓦礫で頭を打つというレトロなコメディばりの事をやってのけ(別にやりたい訳でも無かったが)、頭を押えて蹲るルルーシュの周りをてふてふと忙しない足音がうろついて回った。
 涙の滲む目を僅かに上げてみれば、見えるのは白い脚。
「…………は?」
『ワウ?』
 思わず漏れた間抜けな声に、更に間抜けな鳴き声が被る。
 地面に這いつくばったままゆっくりと視線を上げる、その先にいたのは、純白の犬――否、狼か。


 なんとも間抜けな姿ではあったものの、これが、日の本に宿る優しい神様と孤独な皇子の出会いだった。
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