2008-05-20 [Tue]
姫るる続き。
一頻り憤慨して気が済んだのか、ユーフェミアはすぐに笑顔となるとスザクを振り返る。
「すっかり話が飛んじゃいましたね。スザクには、ルルーシュお姉様の事は話していましたよね?」
「はい、確か殿下の一つ上の姉姫様だと」
騎士に任命されてから、それこそ死ぬ気で覚えた皇族一覧でもそう表記されていた。
更に、騎士仲間(と言ってもナンバーズである自分と親しくしてくれる相手は少ないのだが)や軍の名誉ブリタニア人達からも、彼女の噂は伝え聞いている。
庶民出でありながら騎士候となり、更に皇妃にまで上り詰めた故第五皇妃『閃光』のマリアンヌの長姫。母の才能は受け継がなかったものの、はっきりとその血を引いたと解る美貌を雄雄しく軍服で飾り、時に自らも戦場を駆け抜け容赦なく敵を屠る姿から、『ブリタニアの黒き戦女神』『氷の魔女』『黒の皇女』と名高い正に戦いの申し子。それがルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
KMFの操作技術は母に及ばぬものの、その秀でた頭脳から生み出される数多の戦略、緻密な政略は内外の敵から恐れられ、軍属の者には畏怖と同時に深い敬意と忠誠でもって見つめられる。特に名誉ブリタニア人やナンバーズにとって、真実実力主義を貫く彼女は歓迎される存在だ。彼女が個人で持っている親衛隊『黒の騎士団』は実力を持つ者ならばその人種・国籍を問わず組み込まれると言われており、その言葉を裏付けるようにその人種比はブリタニア:ナンバーズで六:四。しかも騎士団の要職に着く者の半分はナンバーズという、ブリタニアでは全く持って信じがたい一団である。
まあ何にしても、騎士に就任したとは言えナンバーズであり、未だ学生であるユーフェミアの護衛として本国にあるスザクと、絶えず戦場を行き交うルルーシュが出会える訳も無く、今日この日までその尊顔に拝謁する事なく過ごしていたのだが。
「お姉様のお声掛かりでエリアの制定に出てしまって、もう二年……一度も帰ってこない薄情者ですけど。うふふ、スザク、ルルーシュがあんまり綺麗だからって腰を抜かしちゃ駄目ですよ?」
「えぇと……?」
まるで猫の目の様にころころと表情を変えながら、それでも結局は楽しげなユーフェミアにどう頷いてよいのか。確かに伝え聞いた中でも、僅かに見る事の出来た姿絵や写真から見ても、彼女が相当な美貌を持っている事は解るが、幾らなんでも腰が抜ける事はないだろう。
思わず寄せた眉に楽しげに人差し指を突きつけながら、更に何かを言おうとユーフェミアが口を開くのを遮るように、控えの間に従僕の声が響いた。
謁見の時間だ。
「すっかり話が飛んじゃいましたね。スザクには、ルルーシュお姉様の事は話していましたよね?」
「はい、確か殿下の一つ上の姉姫様だと」
騎士に任命されてから、それこそ死ぬ気で覚えた皇族一覧でもそう表記されていた。
更に、騎士仲間(と言ってもナンバーズである自分と親しくしてくれる相手は少ないのだが)や軍の名誉ブリタニア人達からも、彼女の噂は伝え聞いている。
庶民出でありながら騎士候となり、更に皇妃にまで上り詰めた故第五皇妃『閃光』のマリアンヌの長姫。母の才能は受け継がなかったものの、はっきりとその血を引いたと解る美貌を雄雄しく軍服で飾り、時に自らも戦場を駆け抜け容赦なく敵を屠る姿から、『ブリタニアの黒き戦女神』『氷の魔女』『黒の皇女』と名高い正に戦いの申し子。それがルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
KMFの操作技術は母に及ばぬものの、その秀でた頭脳から生み出される数多の戦略、緻密な政略は内外の敵から恐れられ、軍属の者には畏怖と同時に深い敬意と忠誠でもって見つめられる。特に名誉ブリタニア人やナンバーズにとって、真実実力主義を貫く彼女は歓迎される存在だ。彼女が個人で持っている親衛隊『黒の騎士団』は実力を持つ者ならばその人種・国籍を問わず組み込まれると言われており、その言葉を裏付けるようにその人種比はブリタニア:ナンバーズで六:四。しかも騎士団の要職に着く者の半分はナンバーズという、ブリタニアでは全く持って信じがたい一団である。
まあ何にしても、騎士に就任したとは言えナンバーズであり、未だ学生であるユーフェミアの護衛として本国にあるスザクと、絶えず戦場を行き交うルルーシュが出会える訳も無く、今日この日までその尊顔に拝謁する事なく過ごしていたのだが。
「お姉様のお声掛かりでエリアの制定に出てしまって、もう二年……一度も帰ってこない薄情者ですけど。うふふ、スザク、ルルーシュがあんまり綺麗だからって腰を抜かしちゃ駄目ですよ?」
「えぇと……?」
まるで猫の目の様にころころと表情を変えながら、それでも結局は楽しげなユーフェミアにどう頷いてよいのか。確かに伝え聞いた中でも、僅かに見る事の出来た姿絵や写真から見ても、彼女が相当な美貌を持っている事は解るが、幾らなんでも腰が抜ける事はないだろう。
思わず寄せた眉に楽しげに人差し指を突きつけながら、更に何かを言おうとユーフェミアが口を開くのを遮るように、控えの間に従僕の声が響いた。
謁見の時間だ。
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