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嘘つきパラドクス
「ルルーシュ・ランペルージは嘘吐きである」とルルーシュ・ランペルージは言った。さて嘘か真か?
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2008-06-24 [Tue]
挿絵もどきは(ry




 予定よりわずかに遅れ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの乗る飛行機が到着した。
 ゆっくりと高度を下げる飛行機を見上げながら、ユーフェミアはそわそわと落ち着かない。彼女は前日からこんな様子で仕事もなかなか手につかず、終いにはコーネリアにすら呆れられていたほどだ。
 一方のスザクもまた、結局あの翌朝、忙しいんだろうとばかりにクラブハウスから追い出されてまんじりとしない一日を過ごし、少々寝不足気味で頭の奥がぼんやりとしていたりする。
 それでもわずかに残った理性をかき集め、早く駆け寄りたいとうずうずするユーフェミアを小さく諌めた。
「ユーフェミア様、あの、一応他の官僚たちの目もありますから…」
「わ、解っています! でも早く会いたいんだもの…」
 彼女の無邪気さや奔放さを考えれば微笑ましい姿ではあるのだが、周囲の目はあまりよろしくはない。それは彼女に与えられた『お飾り』という評価のせいであり、今回やってくる補佐官のせいなのだが、何せ評価を受けるはずの本人がその補佐官を歓迎しているのだ。礼儀のなっていない者は鼻白んだ表情を隠そうともしない。
 思い切り睨み付けてやりたいところだが、態度に出すと更にユーフェミアの評判を落としかねない為、それも出来ない。あぁイライラする、と内心で巨大なため息を落とした。
 だがどうやらそれはちょっとだけ漏れたらしい。ふ、とついた息を聞きつけたか、ユーフェミアの眉尻が下がった。
「やっぱり私、だらしないかしら」
「え、あ、いえっ!」
「だって本当に久しぶりなんですもの…。同じ本国にいても、学生だった私と違ってルルーシュは本当に忙しくて、ここ二年ほどは殆ど顔を合わせていなかったの」
「本国に居られたのに、ですか」
「そうなの! 本国ではシュナイゼルお異母兄様のお手伝い、その合間にエリア21や23を行き来するのに精一杯で、騎士就任式も帰国の合間を縫ってお父様とシュナイゼルお異母兄様を立会いにしただけで殆ど表に顔を出さないで終わらせてしまったのよ?」
 私も立ち会いたかったのに!と握り拳のユーフェミアの頭上を護衛機が五機、轟音を立てながら滑り抜け、別の滑走路に大型輸送機が二機着陸した。
 更に皇族専用のシャトルが静かに着陸した。
 愈々持って目を輝かせるユーフェミアと並んでシャトルを見上げる背後で小さく諌めるような声を聞きつけ、咄嗟にユーフェミアをかばい振り返る。
 白衣とオレンジの軍服がそこに立っていた。
「ロイドさん、セシルさん!?」
「はぁい、特派でっす!」
「あら、お二人もお出迎えなのですか?」
 ぎょっと目を剥いたスザクの背中からひょっこり顔を出し、ユーフェミアがのんきな声を上げた。穏やかな笑みにやはり笑みを返しながら、セシルが頷いた。
「そうなんです。昨夜シュナイゼル殿下から連絡がありまして、」
「ほらぁ、ルルーシュ殿下ってばシュナイゼル殿下の補佐官の一人でしょお? だから、僕達にもお出迎えしてくれないか~ってね~。更にさーらにぃ、ルルーシュ殿下の騎士のKMFのメンテも僕らにさせるんだってさ!! 僕らだって暇じゃないってのにねー? きちんと政庁の軍基地にスペース空けてもらってるんだからそっちに頼めばいいのにさー、そんな時間があれば実験だって進められるってのにってうわごめんなさいごめんなさい!!」
「…ロイドさん?」
 ボヤキが入ったロイドに拳を握り締めるセシルという、ある意味いつもどおりの二人の姿にひどく気が抜けるが、という事は騎士の方には頻繁に会うことになるのだろうか。
 背後で複数の咳払いが聞こえた。はっと顔を上げればそこに官僚たちの苦い視線が並んでいた。わたわたと四人そろって姿勢を正すと既にシャトルにタラップが据え付けられ、改めて表情を引き締めるのとシャトルの扉が開くのが同時だった。
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